ラストレムナントの不思議

ラスト レムナント

ラスト レムナント

海外レビューを見て、
ラストレムナントは UnrealScript のみで作られていて、 UnrealEngine 本体に手が入ってないんじゃないか」
と感じたことを思い出した。
ゲームはとっても楽しんでますので、以下のことは、これが良い悪いという話ではないです。

テクスチャの遅延貼りが未調整

まず低解像度のテクスチャを貼っておき、非同期で読み込んだ高解像度テクスチャを貼りこむ「遅延貼り込み」がシーンごとに調整されていない。特に目立ったのは、さらわれた主人公の妹が、一輪挿しを見つめるシーンで、情景的にはその一輪挿しにフォーカスが当たって他は背景でしかない(妹もまだ表示されていない)のに、その一輪挿しの花びらに遅延貼りが発生していた。このシーンのポップアップが気になった人は多かったのでは。

非同期読みがない

UnrealEngine は事実上 FPS 用のエンジンのため、レベルのエリア読みには強そうだが、レベルやシーン切り替えには弱い(これはすべてのFPS系エンジンがそう)。タイトル毎に特性に合わせて調整が必要そうな部分だが、ラストレムナントでは特に対策がなく、不評なロードの一因になったと思う。

(HDDにインストールすればロードは一気に解消されます。早速インストールして楽しんでます)

キャプチャしてない?

このゲームは極端なフレーム落ちが非常に多く発生する。そんな場面でボタンの目押しアニメーションが発生すると、3D側の表示が停止しているにも関わらず、目押しアニメもフレーム落ちする。恐らくモーション類の再生を停めているだけで、レンダリング負荷がかかりっぱなしなのではないか。すぐに思いつくプログラム的な対策は、停止中は3D表示を一旦テクスチャにキャプチャして貼り込むことだが、(エンジン自体の加工が必要な対策は)やらなかったのだろう。

足が滑る

プログラムだけの問題ではないが、通常の歩行モーションでは速すぎるのか、自動進行シーンでモーションをそのままにして移動距離を縮めているのだが、当然の結果として足が滑る。基本的に海外のゲームは足が滑ろうが気にしないし、僕も気にしない方だが、それだけではない芝居としてのおかしさが目につく。

この違和感はなんでしょう? 上下動も何か気になるところがあって……移動量だけじゃなくて、歩行モーションの再生速度も変えてる?

ラグドール

これもプログラムとは関係ないが、主人公たちキャラクターにやられのモーションがなく、戦闘不能になるとラグドール扱いになる。しかしインパルスが特に入らないので糸が切れた操り人形のように地面に崩れ落ちてしまう。なかなか不格好だし、ショッキングなゲームオーバーシーンである。戦闘は、ラグドールが必要な地形ではない。個人的には、ゲームオーバーで俯瞰するだけに、主人公だけでいいのでやられモーションが欲しかった気がします。


仮にこれらの推測が当たっていたとしても、もちろんスクエニはこういった問題を完全に解消する技術力も開発力も持ってます。単にやらなかっただけ。選択の問題です。UnrealEngineを導入した時点で割り切ったのだと思います。

多くの人が発売前からフレーム落ちを気にしていたように、トレイラーなどでもグラフィックに関しては未調整な点が少なくなかった。ただ、改善してあるところも多いと思う。

古いトレイラーで見られていた "Unreal影" ともいうべき特徴的なジャギジャギなセルフシャドウ(当時は特に縦に割れていた。縦に引き伸ばされたようだった)はかなり改善されていた。ステージ影をうまく使ってるシーンもあったので、別途マップを持ったか、テクスチャ面積を増やしたのかもしれない。これは店頭のトレイラーですでに直っていたので、最新の公開トレイラーも修正されているかもしれない。

他にトレイラーで気になった "手前の波しぶきのテクスチャ解像度が低い" という画は、そういうテクスチャを貼ったのではなく、テクスチャの遅延貼りが追いつかなかったのかもしれないと思った。

日本の開発者やユーザーと違い、海外はフレーム落ちを気にしないというが、さすがに海外でもフレーム落ちは酷評されていた。やはり海外もフレームレートの安定や高いフレームレートを望んでいるのだと感じた。