あらゆる進捗をバーンダウンチャート化する

昨年2017年は大きな節目となった年ではあったが、反面、仕事や免許に追われプライベートのタイムマネジメントがうまくいかなかったのは大きな反省だった。日々コツコツ進めるタイプのプライベートプロジェクトはことごとく失敗した。この反省を踏まえ、2018年は物事の進捗を「見える化」することで、時間の使い方を見直している。ここ半年間の取り組みについて、実例をいくつか紹介したい。

時間ベースのバーンダウンチャート

まず初めに、「ほとんどタダでゲーム・オブ・スローンズを観る計画」のために作った「ゲーム・オブ・スローンズ バーンダウンチャート」を紹介したい。この超人気番組、Amazonではシーズン7こそ有料であるものの、プライム会員であればシーズン1~6を無料で観ることができる。ということは、Amazonプライム会員無料体験に登録し、無料期間の一か月で全エピソードを視聴して脱会すれば、ほとんどタダで観られるわけだ。しかし、実際にやってみたところ、無料期間の最初の10日間で、シーズン1しか視聴完了できなかった。バーンダウンチャートの出番である。

バーンダウンチャートは、残務(バックログ)の量と残時間の関係を可視化するものだ。よってまずバックログ定量化する必要があるが、TVドラマの場合は残視聴時間がそのまま使える。全シリーズ視聴済みの同僚から残エピソード数を聞き出し、1エピソードをざっくり60分として、バックログを決めた。残時間のほうは、計測開始日からAmazonプライムの課金が始まる前日まで。これで理想線を引くことができる。

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理想線を引いたところ

実績のほうは、視聴中のシーズン数、エピソード番号、おおよその視聴進捗率を毎日スプレッドシートに記入すると、消化済みの視聴時間が自動で計算されてプロットできるようにした。しかし、さらに10日ほど計測してみたところ、どうも実績線の具合がよくない。実績線の傾向を伸長してみると、一か月内に視聴を完了するのは完全に不可能だということがわかる。

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実績線と未来予測

対策として考えられるのは、

  • ベロシティの改善: 一日あたりの視聴時間を激増させて予定通り視聴を完了させる。
  • スコープの調整: 実績線の予測にあわせて、残務量を引き下げる。つまり全シーズン視聴をあきらめる。
  • 期間の延長: おとなしくAmazonプライム会員費を払い、〆切を延長して残時間を増やす。

の3種類だ。結局、3番目の解決策を採用して、潔く会員費を払い、デッドラインを二か月伸ばすことにした。

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GoTバーンダウンチャートの結果

そもそも考えてみれば、最初の〆切設定は、「Amazonプライム会員費を払いたくない」という(ビジネス上の)理由からきたもので、期間内に終わらせることが可能だといえる根拠はなかったのだ。実績ベースの判断が働き、適切な軌道修正を行って、プライベートプロジェクトを成功に導いた一例である。

他に時間ベースのバーンダウンチャートとしては、「アベンジャーズ インフィニットウォー バーンダウンチャート」も作った。当該映画が次世代IMAXでかかってるうちに、未見の関連作を全部見るという計画だったが、こちらは若干〆切を破ってしまったものの、比較的うまくいっている。

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アベンジャーズ インフィニットウォー バーンダウンチャート
 

レベルベースのバーンダウンチャート

次に紹介したいバーンダウンチャートは「マリオ+ラビッツ キングダムバトル バーンダウンチャート」だ。

面白さは折り紙付きのこのゲームだが、最初のワールドをクリアしたところで忙しくなってプレイの手が止まってしまっていた。積みゲーが生まれる黄金パターンだが、今年の私は一味違う。バーンダウンチャートを作成し、「ファークライ5」発売までにクリアできるよう、日々の進捗を確認することにした。

さて、こちらでも残務量(バックログ)と残時間を出して理想線を引くところから始めたい。このゲームは4ワールドに分かれ、各ワールドには全部で9つのレベルがある。すでにワールド1はクリアしているから残りレベル数は27だ。これをバックログとした。残時間はファークライ5の発売日までである。結果をご覧いただきたい。

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マリオ+ラビッツ キングダムバトル バーンダウンチャート

このとおり、今回は目論み通り目標を達成することができた。ただし、賢明な読者の方はすでに心の中で突っ込みを入れられていると思うが、このバックログはレベル数がベースであり、各レベルの難易度までは考慮されていない。一般的にゲームは後半になるほど難しく、プレイ時間も長くなるが、今回の可視化ではその情報は拾えていないことになる。ゲーム後半は素直にプレイ時間を増やすことで押し切ったが、今度同じようなゲームを遊ぶ場合は、難易度の上昇具合にあたりをつけ、何らかの方法でポイント化して定量化してみようと思っている。

%ベースのバーンダウンチャート

最後に、明確な進行度を測ることが困難なオープンワールドゲームのバーンダウンチャートを紹介したい。「ファークライ5 バーンダウンチャート」である。

【PS4】ファークライ5

【PS4】ファークライ5

初めは残務量(バックログ)をどう定義するかとっかかりが掴めなかったが、ある程度ゲームを進行させると、三人の中ボスが支配するエリアがアンロックされ、オープンワールドに移行する。そしてマップ画面で各エリアを状態をチェックすると、レジスタンスポイント、仲間にしたスペシャリストの人数、完了したミッション、解放した敵の基地、破壊した敵の建造物という5種類のカウンタブルな要素の現在値と最大値が表示されていることに気づいた。

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ファークライ5のマップ画面より

もちろんこの値を全て最大値にする前にゲームをクリアすることは可能だろうし、そもそも親玉を倒すパートをどうバックログに組み込めばよいのかわからない。しかし、こちらとしては全サイド要素をクリアするつもりだったので、チャートの叩き台はこれで作れるのではないかと考えた。5種類の意味の異なる数値を統一した残務量表現で扱えるように、バックログは攻略度0%~100%で表現することに決め、5種類×3エリア=15個の入力項目を持った横長スプレッドシートを力技で作った。ここに日々の値を書き込むと、現在の攻略率が計算されて、実績線にプロットされるという具合だ。

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ファークライ5 バーンダウンチャートのプレイ実績入力欄

また、この5要素を攻略率評価の上でそれぞれ均等な重み付けで計算してよいか分からないので、念のためトータルの攻略率の計算に及ぼす重みづけを変更できるようにした。

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重みづけのカスタマイズ

ただ、実際に色々値をいじってもそこまでトレンド(実績線の傾斜角)には大きな影響が見られなかったので、ほぼ均等な重み付けで良しとすることにした。最終的なチャートをお見せしたい。

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ファークライ5 バーンダウンチャート

残時間は1ヶ月に設定(ゴッド・オブ・ウォーも発売するので…)した。ごらんのとおり、色々問題のある進捗だが、大規模でフリースタイルのゲームのプレイ進捗のトラッキング方法に目途が立ったという意味では、私にとってエポックなバーンダウンチャートとなった。

より良いバーンダウンを目指して

次の目標として、計画線を導入してみたい。ゲームはほとんど週末にしか遊ばないが、ゲーム・オブ・スローンズのようなビデオは通勤中に観るので逆に休日は進捗がない。これをうまくチャートに組み込んでおければ、ファークライ5のチャートももっと現実的になり、完了日の予測もついたはずだ。また知見がたまってきたら報告したいと思う。