矛盾に挑む

CEDEC の基調講演で CAPCOM の稲船敬ニさんが、大ヒット製品を作るための方法のひとつとして「矛盾を満たすこと」という切り口で、ユニークな話をされていた。

「矛盾をクリアすることができる商品は必ずヒットする」

というのが稲船さんの持論だそうだ。それでは矛盾を満たしていない商品とは何だろう。例えば、「安くて旨いもの」がそれにあたる。安いものは材料費も安いし、コックの人件費も安い。だから、「安くてそこそこ旨いもの」は作れるかもしれないが、「安くて高級料理と同じくらい旨いもの」は作れっこない。

そこには矛盾がある。だけどもし、「安いのに高級料理と同じくらい旨い商品」が作れたら、どうだろうか。その商品の優位は明らかで、爆発的にヒットするだろう。

そういう話だった。

製品がヒットするという話も魅力的だが、どうやって矛盾を解消するかというプロセスもしんどそうだが面白そうだ。技術面でも企画面でも。そう考えると、この話はこの職業の本質だと思う。

CEDEC はもう古い話だが、この「矛盾に挑む」という話は毎日思い出している。稲船さんの話はこの前TCMでも聞くことができたが、やっぱり面白かった。