Game Community Summit 2013 でマキネーションの紹介をしました

 Game Community Summit 2013 の「海外ゲーム技術勉強会」コミュニティ枠で、先日日本版が出版されました「ゲームメカニクス」で扱われているツール Machination の紹介をさせていただきました。

 すみません、上の画像は、Slideshareの埋め込みではありません! Slideshareへのリンクはこちらです。

 また、上記スライドの「DEMO」の段階で用いたマキネーションのファイルは次のリンクからダウンロード可能です。マキネーションツールの File > Open からロードすることができます!

ゲームメカニクス  おもしろくするためのゲームデザイン (ゲームデベロッパー)

ゲームメカニクス おもしろくするためのゲームデザイン (ゲームデベロッパー)

ゲーム開発英語クラス101<プリプロダクション編>に行ってきました

 架け橋ゲームズさん主催のイベント「ゲーム開発英語クラス101<プリプロダクション編>」に行ってきました。

 場所は錦糸町の貸し会議室で、3時間くらい。ゲームデザイナーとして世界中の大中さまざまな規模のスタジオで働いてきた経験のあるザックさんという方が中心的な講師を務めて、IT翻訳やゲームローカリゼーションで長い経験を持つCEDECIGDAでお馴染みの矢澤さんがサポートにつくという形で行われました。

 クラスが始まって、よい意味で裏切られたのが、なんと全編が英語で進行したことです。といっても、僕レベル(高卒・英語赤点orz)でそこそこ聴き取れましたので、英語のベースが出来上がっている方ならまったく問題がないと思います。たとえば大学出た直後くらいの人で7〜8割分かったと言ってました。ザックさんの英語は明瞭で聴き取りやすく、ゆっくりと喋ってくれて、ひょっとしたら単語も選んでくれたのかもしれません。GDCの講演の聴き取りに比べれば全然楽でした。僕の英語力では、GDCの講演は3時間も聞けば頭痛が起きるのですが、昨日は頭痛くなりませんでしたから、これが何よりの証拠です!

 また、サポートの方が時に日本語の解説を付け加えたり、ホワイトボードにキーとなる単語や文章を書き出してくれたり、質問や聴き取れなかったところを通訳してくれましたから、ここまでやってもらえれば、全編英語でも実質的な問題は少ないのかなと思います。
 ハードな英語クラスではなく、中学の英語授業にネイティブのゲストが来たけど、優しい英語の先生が生徒をサポートしてくれるので、安心して授業の内容に取り組める……みたいな雰囲気といえば伝わるでしょうか。

 質疑応答は都度可能な雰囲気になっていて、そこも欧米の授業っぽい雰囲気なのかなと感じました。周りの方は英語でガンガン質問していましたが、僕の英語力では無理!なので、サポートの方に通訳をしてもらいつつ、僕も疑問に感じたところはどんどん質問させて貰いました。参加者同士のやりとりもガンガンあって、すごく良かったです。

 クラスの中身はプリプロダクション編ということで、バーティカルスライスやプリビズといった開発フェーズに関わる話だけでなく、文化の違いにも及び、欧米と日本で異なるディベロッパーとパブリッシャーの関係性や、コミュニケーションのあり方にも言及されました。次回以降は分かりませんが、僕は「ゲームの一般論の勉強」「英語の勉強」「実務の勉強」の3要素を軸に組み立てられているように感じられました。

  • テーマ(今回はプリプロダクション)に関する一般論としての講義がある。
    • ここはゲーム開発のセミナーといえる。
  • その中からキーとなる単語、イディオム、表現が都度ピックアップされていく。
    • ここは英語的なセミナーといえる。
    • カタカナ発音だと通じない単語がピックアップされ、発音練習までありましたw
    • 日本では○○の意味だが、海外では○○の意味、という単語。ほとんど同じ意味で使われる2つの用語のうち片方はネガティブな意味を持っている等の知識も持ち帰ることができました。
  • 文化・体制の違いによって起こる問題の具体例や、改善のための議論。
    • ここは実務的なセミナーといえる。


 第2回も本当に楽しみです。
 ちなみにクラス後のアフターパーティは、近所のHUBに開店と同時に乗り込んで、好きに飲み食いしながら話をするスタイルで、会計も各自なのでいつ帰るのも自由。スタートとエンドを合わせるタイプの懇親会とはちょっと違っていて、アメリカの人って飲んでてもパッと帰ったりしますけど、あんな気楽な感じです。日本で例えるなら立ち飲み屋の飲みの雰囲気。
 ハッピーアワーだったこともあって僕はキリンフリー2本で480円でした。用事があって2時間半くらいでおいとましたのですが、なんとそのあと3時間やってたらしいです。セミナー3時間でアフターパーティー5時間! でも参加者の参加動機考えると、ゲームの話できて、海外実務の話できて、英語勉強の話できて雑談できるわけでしょ。クラスで分からなかったところの質問とか議論の続きもできるわけですし。そりゃ話題尽きないわ……

「ゲームメカニクス」予約開始

 「ゲームメカニクス」が予約開始になりました。

ゲームメカニクス  おもしろくするためのゲームデザイン (ゲームデベロッパー)

ゲームメカニクス おもしろくするためのゲームデザイン (ゲームデベロッパー)

 海外におけるゲーム研究やゲームデザイン研究は、多くの議論、論文、書籍を経てある程度体系化されつつあります。それは、数多くの名作の解析や、新しく作るゲームのデザインの足がかりに用いられています。しかし、ゲームには「作って動かしてみないと分からない」ところも多く、本書でも「紙と鉛筆によるペーパープロトタイピング」「Unityなどを用いたソフトウェアプロトタイプ」など、今日有効とされるプロトタイプ手法を紹介しています。一方で、どんな速度で開発を行ってもソフトウェアのプロトタイピングのコストは決して小さいものではありません。
 著者の一人である ヨリス・ドーマン氏は、ソフトウェアプロトタイピングにコストを割き始める前の段階で、ゲームメカニクスをモデル化し、視覚化して検証するために、「マキネーション」と名付けた新しい視覚化手法を提唱しています。さらに、それを実際に動的に動作させるツールも開発しました。
 デジタルツールを用いることで、ソフトウェアプロトタイプが出来あがらないとゲームデザイナーが検証しにくかった駆け引きや数値調整に関わる要素を、「動くダイアグラム」を用いて高速に検証することができるようになっています。その要素の変更やゲーム構成の組み替えも容易で、AIプレイで瞬時に10,000回プレイさせて統計データを取り、ゲームデザインの偏りや、仕様変更の影響効果を測定することも可能です。
 本書は、前半部で海外で蓄積したゲーム研究の議論を簡単に振り返り、後半に向かってマキネーションを活用し、前半部の知識を土台にしてゲームをデザインしたり、既存のゲームを実際に解析することを行っています。
 また著者達は、マキネーションで要素間の影響を可視化できることを利用し、ゲームメカニクスの「デザインパターン」集を作りました。ゲーム開発の現場で「この要素をあれでこれしよう」と各人が好きな言葉で話していた仕組みに、定義と名前をつけてくれました。

 端的に言えば、「既存のゲームメカニクスをモデル化したり、ゲーム開発前に自分のデザインするゲームをモデル化することで、良質な知識を身につけたり、チームレベルの開発人員を巻き込まないと検証できないことを事前に検証し試行錯誤することが可能だ。しかしこれまで、自習方法を含めよい手法がなかった。本書の著者が開発した専用ツールを用いれば、それが可能になる。使い方だけでなく、これまでのゲーム研究の知見もまとめられている」となります。

 個人的には、日本のプロの企画は本書に書いてあることは体験的に熟知していると信じたい。ただ、体系化済の知識を知ること、それを構文化し、動かせるようにしたツールの存在は新しい発見だと思うし、それがその暗黙知を整理して共通言語化してくれると思います。また、学生の企画さんはもし学校でWordやExcelの使い方を習って、仕様書を書いてどうプログラマやアーティストに仕事を振るのかという勉強をさせられてるのだとしたら、ぜひこの手の本を(ルール・オブ・プレイなどと一緒に)手にとって欲しいです。

 まだオンラインドキュメントの翻訳ができていませんが(少し遅れるかもしれません)、本のほうは最終段階に入っています。

 マキネーションは素晴らしい提案だと思います。本書の日本語版によりプログラマがゲームデザイナーの首をねじり上げながら「今言うな!」「先に言っとけ!」と叫ぶ情景が少しでも減ることを願います。

Global Game Jam 2013

 3回目です。今年は最初に宣言しておきたいことがあります。

UDK使います(たぶん)

 使い慣れ、本まで訳したUnityではなく、あえてUDKに挑戦したいと思います。ただ、チーム配分次第でどうなるか分かりませんけど。

寝ます

 今年は車で行くので、寝不足はまずいので、すみません、寝ます。チーム名に「寝ます」って付けたいくらい。
 ホテルは同僚や友人で近場を取りまして、彼らの送迎もしますので、睡眠十分安全運転でいきたいと思います。
 もしノリで会場で深夜までいたら知り合いの人注意してください、ホント。

月曜日は出社します

 いま午前半休さえ予定から消しました。ほんとヤバイんです。

あっちのほうも頑張ります

(なんかJamと本の〆切ってたいてい被るような……)


 ということで若いのに任せてオッサンは引っ込んどこうと思った2013年春。

これだけは言いたい

ソーシャル vs コンソール

ちょっとマテ、
アーケードはどこ行ったのよ。

ソーシャル「お客様の喜びがネットワークを通じてデータで分かります」
アーケード「お客様の喜びはゲーセン行けば直接顔見れるし、ネットワークでデータも見てるし、アップデートもしてまっせ。ゲーセン運営はたいていグループ企業だし運営改善余地あればやりまっせ」

結論:アーケード最強(震え声)

いや、まじめな話、ラチェット持ってマシンの組み立てに参画して、ユニフォーム着てゲーセンスタッフに混じってショーやロケやって、しかもネット対応ソフトではちゃんと課題をネットワーク越しで拾えてアップデータの配信も可能。予算も結構貰える。こんなやりがいと面白いゲームづくり環境が他にあります?
どうすか若い人!!

ケルン

 GDC Europeとgamescom視察に来ました。市内にゲーセンっぽいところが1つしかない!
 ところで久々にネタができたので、広告を消そうと思って新エントリを投稿したんですが、今の「はてなダイアリー」って課金しないと広告を消すことができないようですね。まあ、しょうがないですね……

Game Mechanics: Advanced Game Design 日本語版

 IGDAの設立者の一人であるErnest Adams氏とJoris Dormans氏の共著「Game Mechanics: Advanced Game Design」の翻訳をやらせていただくことになりました。

Game Mechanics: Advanced Game Design (Voices That Matter)

Game Mechanics: Advanced Game Design (Voices That Matter)

 "Game Mechanics" は比較的新しい言葉ですが、その概念に近いものとして、日本では「遊び」という言葉が使われている現場が多いと思います。2年前に監修した「ゲームエンジンアーキテクチャ」でも登場しており、LYEさんのブログを読んで、カタカナ訳が定訳になるはずだと信じて、ゲームメカニクスと対訳しました。

 ゲームメカニクスはメジャーな対訳になりつつあると思いますが、絶対的な定訳とまでは言い難く、「ゲームの挙動」「ゲームのルール」「ゲームの仕組み」「ゲームの仕掛け」などその文脈に沿って様々な対訳が用いられることもあるようです。今回この言葉を表題とした本に関わらせていただくことで、改めて Game Mechanics を「ゲームメカニクス」として対訳しようという提案をする機会を得たと思っています。

 翻訳本にがっつり関わるのはこれで3冊目で、翻訳作業についても自分たちなりに「こうすれば正確さと品質を保てるのでは?」「こうすれば楽なのでは?」「原著者に何を質問すればよいのか?」というアイデアを持つようになりました。Unity本のときはかなりバタバタした作業になりましたが、今回は3冊目ながらも多少こなれたところを発揮したいです。