アプリ実装を担当するプログラマはいつまで必要か

 これからの時代、ゲームの現場にはより優れたツールとエンジンが投入されていく。今後、スクリプト言語は、ゲームプレイコード執筆の核となる時期を経て、やがてそれすらも自動化やツールの改善の中で相対的に重要度を失っていくだろう。

 アプリケーションを開発するプログラマは徐々にその役割をスクリプタに引き継ぎ、ゲームアプリケーションの実装ではない、より下層の、ツールや自動化を提供する箇所を担当することになる。もしくはプログラマの定義が変わり、スクリプティングプログラマの仕事の範疇になるかもしれない。ただ、長い目でみれば、間違いなくそこにはもう技術者の仕事はない。

 転換期には、「ゲームを創るために上層へ配置転換を希望する」人と「ゲームを創る技術の下支えをするために下層へ突撃する」人に分かれていくことになるだろう。僕はどっちなのかなぁ……

 そういえば昔ある先輩が、「おれたちはイノベーションを仕掛ける側じゃないぞ。他人が作ったイノベーションに乗ってるだけだぞ。イノベーションで蹴散らされる側だぞ」みたいなことを言っていたのを思い出す。ミドルウェアやエンジンみたいなものがまだ見えていなかった頃に、その先輩は gcc を指さして「俺たちは gcc の消費者だ」みたいなことを言っていたのを強烈に覚えている。

 今なにをされているのか知らないが、ゲームエンジンを作ったり、買ったりして進める今の開発のやり方も、先輩の予測の範疇だったのかもなぁ。

 ただ、僕もあの頃は10年後はプログラマはいないだろうと思ってた。当時とやっていることが劇的に変わったという意味でその予感は当たったかもしれないが、本当の意味でいなくなるのは何年後だろう。この10年の劇的な変化を思うと、10年後にはゲームアプリ実装にプログラマがいらない時代に到達しているんじゃないかと思うんですが……*1

 自動車産業は、今は "運転手" を製品の主な使い手として、できるだけ安全で、簡単に運転できて、運動性能の高い車を提供しようと頑張っている。しかし長期的には、 "運転手" が不要な時代を目指して技術を革新していっている。うちらの業界も同じだと思う。

*1:ただ、 "1行でもコードを書いたらプログラマ" 的な意味合いでは残っているかもしれない