初心者向け

 初心者向けとか、分かりやすいものへのアプローチが、今イチ技術者ウケせん理由に、「アプローチが技術的じゃないけー燃えん」というんがあると思う。

 以前、「お子様やご年配の方にも使いやすいケータイ」というのに、ボタンが3つだけついとって、押せばプリセット番号にかかるけー簡単という製品があった。つまり、携帯電話なのに!電話機なのに!電話のかける先を3〜4つに限定することでボタンの数を減らし、「使いやすく」したんじゃそうな。

 いや、商売用の製品としてこれはこれでアリだという話は分かるが、この企画を持ち込まれた技術者のモチベーションはどんなだったんだろう。携帯の世界のことは知らんが、げんなりされたんじゃなかろうか。

 だってね、使いやすさでいやぁ、脳波を正確に読み取って、テレパシーで動いてくれりゃあ一番ええわけじゃないですか。それは超未来*1の製品だとして、そこに至る間に、音声で操作、応対できる電話機が出てくるじゃろう。しかし、「かける先が3つなのでボタンも3つです」という電話機の延長線上には脳波電話機も音声制御電話機もない。 There is no progress です。

 こーいうミッションは一部の(というか大半の)技術者には、あんまやりとぉない仕事じゃと思うんですよ。技術的に難しいところは無く、既知の技術で作れるんは明らかという2点で、結構辛い。技術的に見て面白くもなく、ブレイクスルーが求められとるわけでもなし……

 そんなわけで、同じく初心者向けに色々求められるわしら XOOPS Cube 開発コミュニティは、「ボタン3つ系」の対策じゃのうてですね、AIとかに手ェ出す時期が来たんじゃないかと思う。

 ユーザーコミュニティから提案されるビギナー対策は、恒常的マンパワーを要する「サービスの充実」で何とかしようというもので、正直、無理です。自動化できないものは技術者には「常時モノ」として維持するこたぁできん。だいたい、ある意味では、そういうのを中途半端に自動化してって人間味の無い社会の成立を目指すんが技術者の仕事なのに(誤認)。

 開発コミュニティはやっぱり開発でコトをこなすしかないと思う。例えば、ボタンを減らして、見かけの取っ付きやすさを向上させる系のアイデアは今イチ乗り気になれんのじゃけど、見かけの取っ付きやすさを向上できるスキンに交換可能なスキンシステムの開発には賛成。大元で前者みたぁなことをやるというのは、仕事でさえ絶対やりたくない類の話なのに、仕事から帰ってきてからやりたい話じゃない。やるいう人がおってんなら、是非やってくれりゃあええですが。あんたがやってくれぇやぁ言われりゃあ、わしゃーやりとぉないんじゃーとしか返事のしようがないです。

 言葉の定義レベルで易しくしようという取り組みに、乗り気じゃないのもそういう理由からです。エージェントの代行機能によって、完全にその部分が隠れるというのならともかく、「あるのに隠す」とか「あるのに言わない」というのは……それは技術者が取り組むミッションじゃなかろうと。

 コンストラクションツール的性質が持つ中級者向けのソフトに対して、自動(あるいは他人)がやってくれないとならない初心者をアプローチさせる技術的な解法と言ったら、もう、人工知能しか無いっすよ。

 デフォルト設定をこれにすると、こっちの層には易しいけど、あっちの層には余計なお世話とか、そんな状況下でひとつのものを決定することに損耗するエネルギーがあるなら、みんなで人工知能勉強しましょーやー。絶対おもろいと思う。手始めに、キャッシュシステムあたりが導入しやすいかと。

*1:その頃に電話機がありゃーの話じゃが